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職場での熱中症対策が令和7年6月1日より義務化 具体的な内容を解説
2025年6月1日より、改正労働安全衛生規則が施行され、職場での熱中症対策が義務化されました。本記事では、トラックドライバーの熱中症の発生状況や、必要な対策などについて解説します。

トラックドライバーの熱中症は増加傾向にあります。ここでは、近年の熱中症の発生件数の推移と、他業種との比較を、それぞれ見ていきましょう。
2021年~2024年における熱中症の発生件数厚生労働省の資料によると、運送業における熱中症の発生件数は2021年の時点で61件でしたが、2024年には186件となっており、3年間で約3倍もの増加が見られます。また、熱中症による死亡者数も、2023年の1人から、2024年には3人と増加しています。
他の業種との比較
厚生労働省によると、全業種における2024年の熱中症の発生件数は1257件、うち死亡者数は31人でした。
運送業の発生件数は186件、うち死亡者数は3人となっています。これは建設業(発生件数228件、死亡者数10人)、製造業(発生件数186件、死亡者数5人)についで、3番目に多い件数でした。
冒頭で述べたとおり、2025年6月1日に施行された改正労働安全衛生規則により、各事業者には熱中症対策の義務化が義務付けられました。
熱中症の自覚がある作業者、もしくは熱中症のおそれがある作業者を見つけた人物が、その旨を報告できるよう、事業所は体制を整備しなくてはなりません。
また、事業所は熱中症のおそれがある労働者を把握し際に適切な対応を取れるよう、事業所における緊急連絡網や、緊急搬送先の連絡先・所在地を明確にする必要があります。
さらに、重篤化を防止するための措置(作業離脱、身体の冷却、医療機関への搬送など)の手順を作成し、関係作業者に周知徹底することも求められます。
なお、熱中症対策の対象となる作業としては、「WBTG(暑さ指数)29度以上もしくは気温31度以上の環境下で、連続1時間以上または1日4時間以上の実施が見込まれる作業」とされています。
陸運連は、熱中症の初期症状として、以下のような症状が紹介しています。
- ・手足がつる
- ・立ちくらみ
- ・めまい
- ・吐き気
- ・異常な汗
- ・なんとなく体調がわるい
- ・疲れやすい
- ・イライラしている
- ・ふらふらしている
- ・呼びかけに返事がない
- ・ぼーっとしている
上記のような症状がみられた場合、もしくは該当する従業員を発見した場合、すみやかに報告し、適切な処置を実施する必要があります。。
トラックドライバーの熱中症の発生状況と、2025年6月から義務化された内容、熱中症の初期症状などについて紹介しました。熱中症は、死亡災害が毎年発生している危険な症状です。初期症状に気づいたら、軽んじることなく、安全を優先した行動を取ることが肝心です。
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