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国土交通省、自動物流道路の実装を目指す

2025年4月10日、国土交通省は、自動物流道路の実装に向けたコンソーシアムのホームページを開発しました。

自動物流道路は、運送業界における深刻なトラックドライバー不足を解決する手段のひとつとして期待されています。

本記事では、自動物流道路の概要や、実装に向けた今後の流れなどについて解説します。

自動物流道路とは

自動物流運転(Autoflow Road)とは、道路に物流専用のスペースを作り、無人化かつ自動化された輸送手段によって荷物を運ぶ物流システムです。これにより、物流の完全自動化が実現できます。

自動物流道路が普及すれば、物流の大幅な効率化が見込めます。例えば、仕分け、保管、時間調整を自動で行えるバッファリングレーンを設けることで物流が効率化され、ドライバーの待ち時間の軽減などが図れます。加えて、トラックや鉄道、船舶、航空輸送といった従来の物流手段とも連携することで、モーダルシフトの推進にも寄与するとされています。

また、物流の効率化により余計なCO2の排出をなくす効果も期待できるでしょう。

自動物流道路が必要な理由は?

国土交通省は自動物流道路が必要とされる背景として、以下の3点を挙げています。

  • ・社会の変化
  • ・道路の現状
  • ・物流の現状

それぞれ見ていきましょう。

社会の変化

自動物流道路の普及が期待される理由のひとつに、日本社会の変化があります。具体的には、人口減少に起因する労働力不足と、それによる国際競争力の低下が挙げられます。また、自動物流道路には、自然災害の備えや、CO2の排出量削減といった役割も期待されます。

道路の現状

現状、日本の道路の速達性は諸外国におよびません。各所で渋滞が発生する状況は、経済的にも環境的にも大きな損失を生んでいます。自動物流道路は、この課題の解決にも寄与することが期待されています。

物流の現状

何より深刻なのが物流業界の輸送力の不足です。ドライバーが減少している一方で、インターネット通販の普及により宅配便の個数は直近20年でほぼ2倍に増えており、物流にかかる負荷が大きくなっています。この課題はこれまでにもさまざまなテクノロジーにより解決策が模索されており、自動物流道路もそのなかのひとつといえます。

海外での事例

物流の完全自動化を目指しているのは、日本だけではありません。

例えばスイスでは、CST(Cargo Sous Terrain)とプロジェクトと銘打ち、主要都市間を結ぶ地下輸送カートによる物流システムの導入を目指しています。すでに約70kmの区間が感性しており、運用開始が予定されています。将来的には総延長500kmを目指すとしています。

また、イギリスではリニアモーターを利用した完全自動運転による物流システムを目指しています。西ロンドン地区では、既存の鉄道敷地内を活用し、全長16kmの専用線を作ることが予定されています。

導入への流れ

国土交通省は2030年代の半ばを目処に、小規模な改良で実装可能な先行ルートにおいて、自動物流道路の運用を開始することを目指すとしています。そこに向けた中間目標として、2027年度中には、新東名建設中区間などにおける社会実験を行うとしています。

自動物流道路の概要と、今後の展望について紹介しました。

かねてよりのドライバー不足や、2024年問題により、物流業界の輸送力の不足は大きな課題です。その解決に向けた一手として、自動物流道路には大きな期待がかかっているといえるでしょう。

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