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遠隔点呼とIT点呼の違いは?

遠隔点呼とは、トラックドライバーをはじめとする自動車運送事業者の点呼業務を、機器やシステムを用いて遠隔地からおこなうことを指します。

これまで原則として対面おこなわれてきた点呼が遠隔点呼になることで、点呼の担当者が営業所を訪れる手間が省け、また一人の点呼担当者が複数の営業所で点呼を行えるため、労働生産性の向上や労働環境の改善、人件費の削減など、さまざまなメリットがあります。

遠隔点呼は令和4年4月からスタートした比較的新しい制度です。しかしそれ以前から、システムを利用した遠隔地からの点呼は「IT点呼」という制度で、限定的ではありますが実施されてきました。

本記事では、混同されやすい遠隔点呼とIT点呼の違いとして、実施する条件と、実施できる範囲をそれぞれ紹介していきます。

遠隔点呼・IT点呼を実施する条件

遠隔点呼を実施する条件 は、「機器・システムが満たすべき要件」「施設・環境要件」「運営上の遵守事項」の3つをクリアしたうえで、管轄の運輸支局に申請し、承認を受けることです。
「機器・システムが満たすべき要件」とは、カメラやモニターの性能が基準を満たしていることや、セキュリティが確保されていること、点呼結果の記録と保存がデータとして適切に記録できることなどです。
「施設・環境要件」としては、モニターを通じて健康状態を確認できる程度の明るさの確保や、カメラの設置、通信環境が基準を見対していることなどが挙げられます。
「運営上の遵守事項」とは、運行管理者、ドライバーが、日々の業務の中で守るべき事柄であり、これを遵守することが条件となっています。

一方でIT点呼は、「Gマーク」の認定を受けているかどうかで条件やできる内容が異なります。
「Gマーク」は、安全運転に向けて充分な取り組みを行っている事業者を、全日本トラック協会が認定する制度です。取得すればIT点呼が可能になる だけでなく、安全性の高い事業者として社会的な信用を得られたり、インセンティブを受けられたりと多くのメリットがあります。ただし認定をうけるためには38の評価項目をクリアしなければなりません。
「Gマーク」の認定を受けていない場合 は、「開設してから3年が経過している」「過去3年間自らの責に帰する重大事故を起こしていないこと」「過去3年間行政処分や警告を受けていないこと」の3つを満たす必要があり、最低でも3年以上かかることになります。

両者を比べると、条件を満たして申請すれば始めることのできる遠隔点呼のほうが、「Gマーク」の取得や直近3年以上の無事故を条件とするIT点呼よりも、導入条件がゆるくなっていることが分かります。

遠隔点呼・IT点呼を実施できる範囲

遠隔点呼の対応範囲は以下のとおりです。

  • 1.営業所と当該営業所の車庫間
  • 2.当該営業所の車庫と当該営業所の他の車庫間
  • 3.当該営業所と同一事業者の他の営業所間
  • 4.当該営業所と同一事業者の他の営業所の車庫間
  • 5.当該営業所の車庫と同一事業者の他の営業所の車庫間
  • 6.当該営業所と同一グループの他の営業所間
  • 7.当該営業所と同一グループの事業者の他の営業所の車庫間
  • 8.当該営業所の車庫と同一グループの他の営業所の車庫間

一方でIT点呼の場合、「Gマーク」を取得している事業所と、未取得の事業所で、実施できる範囲が異なります。
「Gマーク」を取得している場合のIT点呼の対応範囲は以下のとおりです。

  • 1.営業所と当該営業所の車庫間
  • 2.当該営業所の車庫と当該営業所の他の車庫間
  • 3.当該営業所と同一事業者の他の営業所間
  • 4.当該営業所と同一事業者の他の営業所の車庫間

また、「Gマーク」未取得の場合のIT点呼の対応範囲は以下のみになります。

  • 1.営業所と当該営業所の車庫間

令和4年から始まった遠隔点呼は、以前からあるIT点呼よりも導入条件がゆるく、それでありながらより広範囲荷対応することが可能です。IT点呼の条件を満たしているにもかかわらず、遠隔点呼を利用する事業所も多いことでしょう。

IT点呼が始まった背景には、2019年末からのコロナ禍や、物流業界が慢性的に悩まされてきた人手不足、目前に迫ったいわゆる「2024年問題」などへの対策として、点呼業務の遠隔化・効率化が強く求められていたことがあります。ぜひ遠隔点呼を活用し、より効率的な物流を実現して下さい。

文/BUY THE WAY lnc.

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