> > 悪天候時、荷主から無理な輸送を強要されたら?

ドライブワーク通信

悪天候時、荷主から無理な輸送を強要されたら?

近年、12~1月に予想を超える大雪が降るケースが増えています。降雪や豪雨、強風といった悪天候の際には、国が定めた「異常気象における措置の目安」を参考にしつつ、運行の可否を判断する必要があります。

悪天候時に無理な運行により、トラックの横転をはじめとする事故に繋がったケースも散見されています。ドライバーの命や、大切な荷物を守ることを最優先の判断基準としましょう。

また、「安全な輸送を行うことができない」と判断したにもかかわらず、荷主等に輸送を共用された場合は、当該の荷主を通報できる仕組みを利用してください。

異常気象における措置の目安

▽降雨時

  • ・降雨量:20~30mm/h
    ワイパーを早くしても見づらい程度の雨。安全を確保するための措置を講じる必要があります。
  • ・降雨量:30~50mm/h
    ハイドロプレーニング現象(高速走行時、車輪と路面の間に水膜が生じ、ブレーキが効かなくなる)が派生する程度の雨。輸送中止も検討してください。
  • ・降雨量:50mm/h以上
    車の運転が危険な降雨量です。輸送することは適切ではありません。

▽強風時

  • ・風速:10~15m/s
    道路の吹き流しの角度が水平になり、高速道路では横風に流される感覚を受ける風量です。輸送の安全を確保するために措置を講じる必要があります。
  • ・風速:15~20m/s
    高速運転中に、横風で流される感覚がより大きくなります。輸送の安全を確保するために措置を講じる必要があります。
  • ・風速:20~30m/s
    通常の速度で運転することが困難な風量です。輸送中止も検討してください。
  • ・風速:30m/s以上
    走行中のトラックが横転するほどの風です。輸送することは適切ではありません。

▽降雪時

大雪注意報が発令されている場合は、必要な措置を講じてください。

▽視界不良時(濃霧・風雪等)

視界が概ね20m以下の場合は、輸送中止することも検討してください。

▽警報発令時

輸送の安全を閣法するための措置を講じ、その上で輸送の可否を判断してください。

荷主から無理な輸送を強要された場合は?

悪天候など、安全な輸送を行うことが困難であるにもかかわらず、荷主等から輸送を共用された場合は「荷主勧告制度」を利用してください。

荷主勧告制度とは、トラック運転事業者が過積載運行や過労運転防止義務違反などの違反行為を犯し、それが荷主の指示によるものだと認めれた場合に、国土交通大臣が当該の荷主に対して、再発防止のための措置を行うよう勧告する制度です。この勧告が発動された際には、当該の荷主と事案の概要が公表されます。

また、勧告には至らないものの違反行為への関与が認められた荷主に対しては「警告」や、関係機関からの法令違反情報をもとに関係する荷主を特定して働きかけを行う「協力要請」といった措置が取られることもあります。

通報は国交省のホームページからも可能

安全を確保できない状況下での輸送を、荷主から共用された際には、国土交通省ホームページの「荷待ち・荷役・燃費価格上昇などに冠する輸送実態把握のための意見募集窓口」や、適正化取引相談窓口、地方運輸局、および運輸支局などから通報することができます。

文/BUY THE WAY lnc.

ドライブワーク通信バックナンバー
  • 白トラ行為への規制強化 ポイントを解説
    2026年4月1日より、貨物自動車運送事業法の改正法が一部施行され、違法な白ナンバートラック(白トラ)への規制が強化されます。従来の白トラ規制は、主に運送を行った事業者が処罰の対象でしたが、この規制強化により、運送を行った荷主も責任を問われることになります。
  • 冬用タイヤは「溝深さ」に注意 重要性と確認方法を紹介
    冬季のトラック輸送では、路面の凍結や積雪がある地域での走行が避けられず、冬用タイヤの装着が不可欠です。しかし、安全に走行するためには、単に冬用タイヤを履くだけでは不十分で、適切な管理が欠かせません。なかでも特に重要なのが、タイヤの「溝深さ」です。本記事では、大型車の冬用タイヤにおける溝深さの基礎知識や重要性、点検方法などを分かりやすく解説します。ぜひ参考にしてください。
  • 1月開催!外国籍ドライバー採用に向けたネパール視察ツアー企画!
    2024年3月、特定技能制度に追加された自動車運送業分野。弊社アズスタッフでは先行して特定技能ドライバーの教育事業をネパールにて展開し、依頼に対して迅速な対応ができるように、準備を進めてきました。現在は教育を終えて内定を待っている候補者が多くいるため、圧倒的なスピード感での入国を実現させることが可能となります。ネパール現地では国家資格を有する日本人の教職員を駐在させ、ドライバー教育を行っております。そして今回、1月21日(水)~23日(金)にかけ実際の教育現場の見学や、現地の日本語学校、教習所を視察し面接が可能なツアーを開催することが決定いたしました。今回はその内容についてご紹介します。
  • 現地教育
    弊社アズスタッフでは、ネパールの現地企業と連携した特定技能ドライバー教育事業の開始を発表しました。2024年3月、特定技能制度に自動車運送業に追加されましたが、現状はまだ広く浸透していないことを背景に、アズスタッフでは、国家資格を有する日本人の教職員を現地に駐在させ、ドライバー教育を行う事業に乗り出しました。今回はその現地での事業の内容をご紹介します。
  • ヨシ! 「仕事猫」が車輪脱輪事故防止を啓発
    一般社団法人日本自動車工業会は、人気キャラクター「仕事猫」とコラボし、大型車の車輪脱落事故防止を啓発するチラシを制作しました。本記事では、車輪脱落事故の概要や原因、日常的に行える対策などを紹介していきます。「仕事猫」や、「車輪脱落予兆検知装置」についても解説していくので、ぜひ参考にしてください。

ドライブワーク通信一覧へ

Copyright (c) Az staff Inc. All Right Reserved.