> > 「空飛ぶトラック」が登場。6年以内に導入も

ドライブワーク通信

「空飛ぶトラック」が登場。6年以内に導入も

トラックが空を飛ぶ――。そんなSFのような出来事が実現するかもしれません。それも6年以内に。

2019年1月。ラスベガスで開催された家電・技術の見本市「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)」で、ヤマトホールディングスの牧浦常務が語ったところによると、ヤマトはアメリカの製造大手ベル・ヘリコプター社と共同開発する無人輸送機を、2025年までに配送サービスで導入し、「空飛ぶトラック」として運用していくそう。2019年夏には、アメリカ国内での実証実験を予定しています。

背景にあるドライバー不足

ドライブワーク通信でも度々取り上げていますが、トラック業界は近年、慢性的なドライバー不足に悩まされています。ネット通販の普及などにより年々増え続ける荷物の量に対して、ドライバーの数は大きく不足しています。

国土交通省が2017年に発表した交通政策白書によると、来年2020年までに必要とされるドライバーの人数92万4千人に対して、2017年の時点で10万人近く不足している状況がありました。また若手ドライバーの不足による高齢化も顕著で、ドライバー全体の7割以上が40代以上。このまま高齢化が進めば、将来的にはドライバー不足は更に深刻度をましていくものと懸念されています。

こういった諸問題を解決するために業界では、1台のトラックに2台分のトレーラーを連結して積載量を増やす「ダブル連結トラック」や、ドライバーの負担を減らす「自動運転トラック」などの、新技術の開発、導入実験を積極的に推し進めています。「空飛ぶトラック」もそういった新技術のひとつとして、ドライバー不足解決への貢献が期待されています。

無人で移動が速く効率的な「空飛ぶトラック」

「空飛ぶトラック」とはいっても、その外観は従来のトラックとは大きく違っており、巨大なドローンに近いものです。運転は無人で、期待の中央部分にあるポッドに荷物を入れ、時速160キロで空中を移動することができます。想定される飛行距離は数十キロ~数百キロの中距離。無人でありドライバーを必要としないことや、高速道路を走るトラックを上回る速度で飛行できることが大きな特徴です。また道路状況にも左右されない点も魅力。輸送を大きく効率化することができるかもしれません。

積載量では従来のトラックに軍配

「空飛ぶトラック」が実用化され、活躍するようになると、地上を走る従来のトラックは過去のものになり、役割を失ってしまうのでしょうか?

そんなことはありません。現在開発中の「空飛ぶトラック」の積載量は、最大のものでも約450キロ。一方で地上を走る従来のトラックは、大型のもので約10トン、中型で約4トン、小型であっても約2トンもの荷物を積載することが可能。「一度に多くの荷物を運ぶ」という分野は、まだ当分の間、従来のトラックのが担う役割となるはずです。

陸と空の輸送網で物流の最適化を

ドライバー不足は依然として深刻な状態が続きますが、「空飛ぶトラック」や「ダブル連結トラック」など、新たな技術の研究開発も、私たちの想像を上回るペースで進められています。

「空飛ぶトラック」の導入への期待として、ヤマトの牧浦常務は「従来の陸の輸送網に加えて、新たな手段が増えるk遠出、物流の最適化に繋げることができる」と説明しています。

文/BUY THE WAY lnc.

ドライブワーク通信バックナンバー
  • 能登半島地震の被災地に対する、運送事業者の支援を一部紹介
    2024年1月1日に発生し、240名の命を奪った能登半島地震から1ヶ月が経過しました。被災地では現在でも約1万4000人の方が避難所での生活を余儀なくされています。そんななか、全国のさまざまな企業が、被災地に向けた支援を実施、あるいは今後の支援を表明しています。今回は、運送事業者が行った支援について、ごく一部ではありますが紹介していきます。
  • 佐川急便、再配達の荷物をファミリーマートのロッカーで受け取れるサービスを開始
    2024年1月22日、佐川急便株式会社(以下:佐川急便)は、不在で受け取りができなかった宅配便の荷物を、ファミリーマートの専用ロッカーで受け取れるサービスを開始しました。再配達の削減効果に期待がかかるほか、ユーザー目線では受け取りの選択肢が増えることによる利便性の向上が見込まれます。
  • 消費者庁、EC事業者に対し「送料無料」の表示の見直しを要求
    2023年12月19日、消費者庁 はEC事業者などに対し、「送料無料」表示の自主的な見直しを求める旨を発表しました。この要求の背景にあるのが、背景には、2024年4月以降に起こるとされている「物流の2024年問題」です。
  • 引越事業者優良認定制度(引越安心マーク)とは?概要と取得の手順を紹介
    「消費者に選ばれる引越事業者でありたい」「引越作業の質の高さをアピールしたい」引越事業者のなかには、上記のような悩みをお持ちの引越事業者の方もいるのではないでしょうか。多くの消費者は、できるかぎり信頼のおける引越し業者に依頼したいと考えるものです。そこで効果的なのが、「引越事業者優良認定制度(引越安心マーク)」の取得です。全日本トラック協会(全ト協)による認定制度なので、取得すれば客観的に引越作業の質の高さをアピールすることができます。本記事では、引越安心マークの概要と、取得手順について解説します。取得を検討している方は、ぜひ参考にしてください 。
  • 事業用自動車総合安全プラン2025」達成に向けた、全日本トラック協会の取組状況が公表
    令和5年11月17日、「事業用自動車総合安全プラン2025」達成に向けた全日本トラック協会の取組状況 が発表されました。本記事では、国土交通省が掲げる「事業用自動車総合安全プラン2025」と、その達成のために全日本トラック協会が定めた「トラック事業における総合安全プラン2025」の概要と現状について、それぞれ解説します。

ドライブワーク通信一覧へ

Copyright (c) Az staff Inc. All Right Reserved.