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業界のイメージ改善に期待。「ホワイト経営認証制度」とは

深刻なドライバー不足が続いているトラック業界。国土交通省が2017年に発表した資料によると、2016年の時点でドライバーの人数は約83万人。2020年までに必要とされているドライバーの人数が94万4000人ですから、10万人近い不足があることになります。

ドライバー不足の背景には、宅配便の件数や再配達の増加、女性ドライバーの少なさなど、複数の要因がありますが、そのうちのひとつが若手の人材を確保できていないことです。トラック業界全体における40代~50代前半の割合は約45%。これは全産業の平均である約35%を大きく上回ります。

「トラック=ブラック」のイメージが人材不足に影響

なぜ若手人材がトラック業界に入ってこないのでしょうか。その理由としては、長時間労働をはじめとする労働環境の悪さや、それ付随するイメージの悪さなどが挙げられます。

2016年発表の資料によると、2014年の時点で、トラック業界の平均労働時間は大型で2592時間、中・小型で2580時間。こちらは全産業平均の2124時間を大きく越えていました。一方で平均所得額は大型で422万円、中・小型で375万円でした。これは全産業平均の480万円を下回る額です。つまり当時のトラック業界は、長時間労働の上に賃金も低いという状況がありました。

こうした状況は、近年「長時間労働」「ブラック企業」といったキーワードがメディアなどで取り上げられる頻度が増えたこともあり、これから職業選択を行う若者に対して秘奥にネガティブな印象を与えていると考えられます。

これを受けてトラック業界は、運賃値上げによる収入の増加や、再配達の抑止、働き方改革実現に向けたアクションプラン制定など、改善にむけた様々な取り組みを行っていますが、現状では十分な成果をあげているとはいえず、若者へのイメージ回復にもつながっていないのが現状です。

イメージ改善に期待がかかる「ホワイト経営認証制度」

そこで国土交通省では、トラック業界における「働き方改革」の推進と、「トラック業界=ブラック企業」のイメージの払拭を目的に、ホワイト経営(ブラックの対義語で、収入や労働時間、福利厚生などが充実し、従業員が働きやすい経営)を行っている事業所を認定する「ホワイト経営認証制度(仮称)」を、来年度にも運用する予定です。

認定を受けるための審査には60項目ほどの基準があり、「一つ星」「二つ星」「三つ星」の3段階を設けます。星が多いほどグレードが高く、一つ星は事業者全体の50%。二つ星は25%、三つ星は12.5%が取得できるようにする予定です。

より高いグレードの認定を受ければ「トラック業界に興味はあるけど、ブラックだったら嫌だな……」という求職者の心理的障壁を和らげることができ、人材不足の解消に繋がると見込まれています。また認定を受けるためには当然、それ相応のホワイト経営が求められるため、働き方改革の推進にも繋がると期待されています。

今年9月19日に国土交通省が開催した検討会議では、「認証制度ができたら申請を検討するか」のアンケート結果が発表。トラック業界では「申請する」と「申請を検討する」の合計が54%と過半数を超え、期待度の高さが浮き彫りになりました。

なお「ホワイト経営認証」は現段階での仮称で、正式名称は現在検討中です。

文/BUY THE WAY lnc.

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