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宅配便の運賃改定と、背景にある人手不足

2017年度は、運送各社が運賃の値上げに踏み切った年度となりました。
10月にヤマト運輸が27年ぶりとなる運賃の改定を行うと、佐川急便、日本郵政もこれに追従しました。

値上げの背景にあるもの

運賃値上げの背景には、運送業界が抱える慢性的な人手不足があります。ネット通販の普及により宅配便の取扱個数は大きく増えましたが、ドライバーの担い手は増えていないため、その分人手が不足しているのです。

▽ネット通販の普及
国土交通省が発表した資料によると、宅配便の取引個数は過去10年間で10億個以上増加しています。この背景にはネット通販の普及があり、今後も増えていく可能性があります。

▽ドライバー不足
2020年時点で必要とされるであろうドライバー数103万人に対して、2016年時点でのドライバー数は83万人と、ドライバー不足は非常に深刻です。前述した宅配便の増加により激務になりやすいことなどから、若手人材の確保が上手くいっているとは言い難い上京です。また既存のドライバーは中高年男性の割合が高く、高齢化も大きな懸念となっています。

▽高い再配達率
現在、宅配便全体の約20%が再配達といわれており、ここに人手を割くことも運送業界にとって大きな負担となっています。

各社の値上げ幅

次に各社がどれだけ値上げしたのかを見ていきます。

▽ヤマト運輸
60~80サイズ:+140円
100~120サイズ:+160円
140~160サイズ:+180円
また、配達時間の指定で12~14時を指定できなくなり、再配達の受け付け締切が従来の20時から19時に変更されました。

▽佐川急便
100サイズ:+60円
140サイズ:+230円
160サイズ:+180円
さらに170サイズ以上を取り扱う飛脚ラージサイズ宅配便でも、平均17.8%の値上げが実施されました。

▽日本郵政
平均で12%程度の値上げが実施されました。

値上げだけではない。新たな新サービスも登場

ヤマト運輸が27年間値上げをしなかったことからも、今回の価格改定が運送業者の本位ではなく、必要にかられての改定だったのだとうかがい知ることができます。 逆にいえば、利用者側がより人手の掛からない発送方法や受け取り方法を選択するよう心がけていけば、今後の値上げを抑制していくことにも繋がります。
ヤマト運輸や日本郵政では、送り状をオンラインで発行したり、再配達を減らすためのサービスを利用するなど、人手の掛からない運送方法を選択することによって割引が受けられます。

○ヤマト運輸
送り状作成の際、ヤマト直営店の店頭端末や、自宅で利用できる送り状発行システムを利用することで割引を受けられるようになりました。また届け先を自宅ではなく、ヤマト運輸直営店を指定することでも割引を受けられます。

○日本郵政
発想ラベルをオンラインで発行することで割引を受けられます。また、受取人不在でも荷物が受け取れるよう、玄関前や車庫など、指定した場所に配達するサービスも開始されました。

値上げの影響

運送業のドライバー不足については以前からメディアでも大きく取り上げられていたため、今回の値上げについても、一般ユーザーからは概ね理解を持って受け容れられました。
また法人顧客については、ヤマト運輸では今回の値上げに際して、約4割が契約を打ち切りましたが、Amazonをはじめとする6割は値上げを受け容れました。宅配便の個数は減らしつつ利益は伸びたので、結果的に値上げは成功したといえるでしょう。 ヤマト運輸ではここで増えた利益を、ドライバー不足の一因にもなっていた、待遇改善に宛てていく考えを示しています。

文/BUY THE WAY lnc.

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