> > 国交省も問題視する長時間の荷待ち。電子化による改善策などが登場

ドライブワーク通信

国交省も問題視する長時間の荷待ち。電子化による改善策などが登場

運送業界におけるドライバー不足や、ドライバーの長時間労働が社会問題化する中、荷待ち時間の長さが問題視されています。

長時間労働の原因となる荷待ち

全日本トラック協会が行った調査によると、運行1回あたりの荷待ち時間は平均1時間45分。全体の2割が3時間を超え、中には5時間に達するケースまで報告されています。
荷待ちをしている間、ドライバーが取れる行動や行える業務は非常に限られます。長時間労働が課題になっているにもかかわらず、持て余してしまう時間が2時間前後もあるままでは、なかなか現状は改善できないでしょう。
また、この荷待ち時間を休憩時間としてみなしている運送業者もあり、これが違法なサービス残業の原因となっているケースも少なくありません。

国土交通省は荷待ち時間の記録を義務付け

平成29年5月。国土交通省では、荷待ち時間の記録を義務付けました。荷待ち時間の実体を把握し、改善に向けて役立てるためです。対象となるのは車両総重量8トン以上、もしくは最大積載量5トン以上のトラックに乗車した場合。付けた記録は1年間保存しなければいけません。記録の対象となるのは以下の項目です。

1.荷主指定の到着時刻・集荷地点などへの到着時刻
指定された時刻と、実際に到着した時刻を記録します。

2.荷待ち時間の開始時刻・終了時刻
荷主の都合によって30分以上荷待ちをした場合、その開始時刻と終了時刻を記録します。

3.附帯業務の開始・終了時刻
荷造りや仕分け、代金のやり取りなどの付随業務について、開始時刻と終了時刻を記録します。

4.荷積みや荷降ろし開始・終了時刻
荷積みや荷降ろしを開始した時刻と、終了した時刻を記録します。

5.出発時刻
現地での作業を終え、出発した時刻を記録します。

非効率な受付が荷待ちの原因に

荷待ちの増加には様々な原因がありますが、その中のひとつに、物流センターなどにおける受付業務の段取りの悪さがあります。
受付業務については、運送業者やドライバーの情報を加味のノートに逐一手書きで記載していくという手法が、未だに主流となっています。
物流量がそれほど多くはなく、ドライバーの人数も足りていた時代ならば、このやり方でも問題ありませんでしたが。しかしドライバー不足や物流量の増加、長時間労働が課題となっている現代においては、この作業を効率化することでに街業務を減らしていく必要があります。

受付の電子化で荷待ち時間の削減を

受付業務の効率化を目的としたツールとしては、株式会社Hacobuが提供する電子受付システム「MOVOトラック受付システム」があります。
あらかじめドライバー情報を登録しておくことで、現地では電話番号の入力だけ受付業務を済ませることができるようになります。受付の度に諸々の情報を手書きで記載していたことを考えれば、大幅な時間の削減になります。非常にシンプルな仕組みですが、シンプルなだけに分かりやすく、デジタル機器に慣れていない高齢のドライバーであっても簡単に利用することができます。

価格は受付1ヶ所あたり1万円からですが、IT導入補助金の対象になるため、導入費用のうち最大で50万円の補助を受けることができます。コストパフォーマンスは非常に優れているといえるでしょう。

文/BUY THE WAY lnc.

ドライブワーク通信バックナンバー
  • 能登半島地震の被災地に対する、運送事業者の支援を一部紹介
    2024年1月1日に発生し、240名の命を奪った能登半島地震から1ヶ月が経過しました。被災地では現在でも約1万4000人の方が避難所での生活を余儀なくされています。そんななか、全国のさまざまな企業が、被災地に向けた支援を実施、あるいは今後の支援を表明しています。今回は、運送事業者が行った支援について、ごく一部ではありますが紹介していきます。
  • 佐川急便、再配達の荷物をファミリーマートのロッカーで受け取れるサービスを開始
    2024年1月22日、佐川急便株式会社(以下:佐川急便)は、不在で受け取りができなかった宅配便の荷物を、ファミリーマートの専用ロッカーで受け取れるサービスを開始しました。再配達の削減効果に期待がかかるほか、ユーザー目線では受け取りの選択肢が増えることによる利便性の向上が見込まれます。
  • 消費者庁、EC事業者に対し「送料無料」の表示の見直しを要求
    2023年12月19日、消費者庁 はEC事業者などに対し、「送料無料」表示の自主的な見直しを求める旨を発表しました。この要求の背景にあるのが、背景には、2024年4月以降に起こるとされている「物流の2024年問題」です。
  • 引越事業者優良認定制度(引越安心マーク)とは?概要と取得の手順を紹介
    「消費者に選ばれる引越事業者でありたい」「引越作業の質の高さをアピールしたい」引越事業者のなかには、上記のような悩みをお持ちの引越事業者の方もいるのではないでしょうか。多くの消費者は、できるかぎり信頼のおける引越し業者に依頼したいと考えるものです。そこで効果的なのが、「引越事業者優良認定制度(引越安心マーク)」の取得です。全日本トラック協会(全ト協)による認定制度なので、取得すれば客観的に引越作業の質の高さをアピールすることができます。本記事では、引越安心マークの概要と、取得手順について解説します。取得を検討している方は、ぜひ参考にしてください 。
  • 事業用自動車総合安全プラン2025」達成に向けた、全日本トラック協会の取組状況が公表
    令和5年11月17日、「事業用自動車総合安全プラン2025」達成に向けた全日本トラック協会の取組状況 が発表されました。本記事では、国土交通省が掲げる「事業用自動車総合安全プラン2025」と、その達成のために全日本トラック協会が定めた「トラック事業における総合安全プラン2025」の概要と現状について、それぞれ解説します。

ドライブワーク通信一覧へ

Copyright (c) Az staff Inc. All Right Reserved.