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東大IPCがロボトラックに出資 2024年問題の早期解決を目指す

東京大学共創プラットフォーム株式会社(以下:東大IPC)が運営するオープンイノベーション推進1号投資事業有限責任組合(以下:AOI1号ファンド)は、株式会社ロボトラック(以下:ロボトラック)への1.5億円の出資を決定しました。ロボトラックは、自動運転大型トラックソリューションを開発する企業です。

今回の出資は、物流の2024年問題の早期解決を目指すものであり、PKSHAアルゴリズム2号ファンドおよび、AIS CAPITAL株式会社との共同出資です。

物流の2024年問題とは

物流の2024年問題とは、2024年4月以降、働き方改革関連法案の一環としてトラックドライバーの時間外労働が年間960時間までに制限されたことなどによって起こっている諸問題のことを指します。

とくに深刻なのがドライバー不足で、2030年にはトラックの輸送力が34%不足するという推計もあります。トラックの輸送力が不足した場合、荷物が正常に届かなくなるなど、利用者一人ひとりの生活にも悪影響がおよびます。

2024年問題解決に向け、運送業界では各社が様々な対応を行なっていますが、未だに深刻な状態を抜け出すには至っていないのが現状です。

ロボトラックの2024年問題対策

ロボトラックの代表取締役CEOであるナン・ウー氏は、2021年に自動運転トラックの完全無人走行テストに世界で初めて成功した、トゥーシンプル社の共同創業社でもあります。

トゥーシンプルは2023年には、日本の東名新東名高速道路において、日本最高記録となる270kmのレベル4自動運転テストにも成功しています。これらの実績をもたらした技術者チームやノウハウは、ロボトラックに引き継がれています。

また、ロボトラックは、その優れた技術と、トゥーシンプル時代から積み重ねた実績が評価され、経済産業省の「モビリティDX促進のための無人自動運転開発・実証支援事業」にも採択されました。2025年2月には、新東名高速道路駿河湾沼津SA―浜松SA間の100kmの走行テストを実施し、成功を収めています。

ロボトラックは、最新のAIと機械学習を用いて、2024年問題の解決を図ります。具体的には、AIを搭載した自動トラックを用いた24時間365日の運用や、ドライバー不足の解消、運用コストの最大40%削減、センサーシステムによる安全性の向上、リアルタイムデータを活用したサプライチェーンの最適化などを掲げています。

東大IPCとは

東大IPCは、東京大学が100%出資する子会社として2016年に設立された官民ファンドです。東京大学周辺で培われたベンチャー・エコシステムの発展を通し、日本の産業競争力強化に向けた事業を行なっています。

2024年問題が物流に与える影響は依然として深刻です。その解決のためには、ロボトラックのような最新技術を持つ企業だけではなく、運送業界全体、ひいては荷主企業や一般消費者の協力が欠かせません。

東大IPCが運営するAIOファンドのCIOパートナーを務める水本氏も「物流業界から部品メーカーまで、あらゆるステークホルダーとの連携が極めて重要です」と述べ、自動運転トラックに関心のある企業からの協力を募っています。

ドライブワーク通信バックナンバー
  • 外免切替制度内容変更、助成金について
    海外で取得した免許を日本の免許に切り替える制度である「外免切替」。近年、この外免切替での免許取得者の問題が多発しています。その内容は「交通事故」、「交通マナー」です。外国人によるひき逃げや逆走が続発 問題が増加していることを受け、警察庁は10月1日より、外免切替を厳格化することを決定しました。今回は、どこが変更されたのか、今後どういったことが見込まれるのかをご紹介していきます。
  • 外国人が好む募集要項
    2025年春、特定技能制度に新しく追加された業種「自動車運送業」。現在、少しずつ参入企業が増え、採用活動を行っている企業が増えています。今後さらに多くの企業が参入し需要が供給を超え、人材の引き合いが見込まれるこの制度ですが、外国籍ドライバーが集まりやすい募集要項はどういった内容なのでしょうか。今回は、外国人の候補が好む条件について実際の声も参考にし、ご紹介します。
  • 外国人ドライバーを検討する上での国籍比較
    特定技能制度は、国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とする制度です。2018年に在留資格「特定技能」が創設され、2019年4月から受入れが可能となりました。自動車運送業分野においては、特定技能1号について受入れが可能な分野として2024年4月新たに定められました。
  • トラックドライバーの喫煙率は平均の3倍以上 健康リスクだけではなく交通事故のリスクも
    2025年7月、全日本トラック協会(全ト協)は、「ドライバーの健康増進に向けた取組の推進」の一環として、「運転中だけたばこをお休みしてみませんか? 」と題した啓発チラシを作成しました。それに合わせて本記事では、トラックドライバーの喫煙状況や、一般的な喫煙のリスク、トラックドライバーならではの喫煙リスクなどについて解説します。
  • 多くのドライバーが「運転中に眠気による危険」を体験 睡眠不足が招くリスクとは
    2025年7月、全日本トラック協会(全ト協)は、「いい仕事は快適な睡眠から 」と題した啓発チラシを公開しました。これは「ドライバーの健康増進に向けた取組の推進」の一環として作成されたものです。そこで本記事では、トラックドライバーの睡眠不足が招くリスクや、睡眠のチェック方法などについて解説します。

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