> > ダブル連結トラックの対象路線が拡充

ドライブワーク通信

ダブル連結トラックの対象路線が拡充

2024年9月、国土交通省は「ダブル連結トラック」の対象路線を拡充すると発表しました。ダブル連結トラックは、運送業界が直面する深刻なドライバー不足の解消を目指し、2019年1月より本格的に導入されています。

本記事では、ダブル連結トラックの基礎知識について解説したうえで、今回拡充された路線や、今後の展望などについて紹介していきます。

ダブル連結トラックの概要
導入の背景

ダブル連結トラックが登場した背景には、トラック運送業界の慢性的なドライバー不足があります。2024年4月からはトラックドライバーの時間外労働に年間960時間の上限が設定されたことで、1人あたりの運行時間が制限され、人手不足がさらに深刻化しました。国の試算によると、このまま何の対策も行わなかった場合、2024年には14.2%、2030年には34.1%もの輸送能力が不足するとされています。

また、トラックドライバーは全産業の平均として、ドライバーの平均年齢が高い傾向にあります。国が2022年に発表した資料によると、トラックドライバーは40~54歳が占める割合が45.2%となっており、これは全産業の平均である34.7%よりも大幅に高い数値です。また、29歳以下のトラックドライバーは10.1%しかおらず、全産業の16.6%よりも少なくなっています。今後、高齢化が進んで、現在の40~50代が引退した場合、ドライバー不足はいっそう深刻になることが予想されます。

深刻化するドライバー不足の解消に向け、国や運送業界はさまざまな施策を実施していますが、そのうちのひとつがダブル連結トラックの導入です。

ダブル連結トラックとは

ダブル連結トラックとは、1台の牽引車両(トラクター)に2台の被牽引車両(トレーラー)を連結したトラックです。トラクター1台に対してトレーラー1台を連結する従来の構成と比較し、最大で2倍の荷物を運べるため、ドライバー不足解消に向けた活躍が期待されています。なお、運転するためには大型自動車免許だけでなく、牽引免許も必要です。

ダブル連結トラックは、2016年11月に初めて実験が行われ、その後何度かの実験を経た後に、2021年1月より本格的な導入が開始されました。

拡充する路線

冒頭で紹介したとおり、2024年9月、国土交通省はダブル連結トラックの路線の拡充を行うと発表しました。路線の拡充は、2021年1月の本格導入以降、これが2度目です。

2021年1月にダブル連結トラックが本格導入された際、対象となる路線は2050kmでした。1度目の拡充が行われた2022年11月には、2倍以上となる5140kmまで拡充しています。これが今回の拡充により、6330kmまで伸びると発表されています。

今回の拡充では、これまで対象となっていなかった北海道や首都高速、阪神高速などの区間が追加されます。さらに災害時の迂回路となる、上信越道や、北陸道、中国道なども追加の対象となります。

今後の展望

国土交通省は今後、高速道路のサービスエリアやパーキングエリアに、ダブル連結トラックの優先駐車場を整備する予定です。加えて、運行状況やニーズを踏まえながら、今後の拡充についても検討していくとしています。

ダブル連結トラックの基礎知識と、今回の拡充の内容について開設しました。ダブル連結トラックは、1台のトラクターに2台のトレーラーを連結した車両です。

今回の拡充により、対象の路線は6330kmとなり、2021年1月の本格導入時と比較して3倍強となりました。今後も深刻化するドライバー不足の解消に向けた活躍が期待されています。

ドライブワーク通信バックナンバー
  • 白トラ行為への規制強化 ポイントを解説
    2026年4月1日より、貨物自動車運送事業法の改正法が一部施行され、違法な白ナンバートラック(白トラ)への規制が強化されます。従来の白トラ規制は、主に運送を行った事業者が処罰の対象でしたが、この規制強化により、運送を行った荷主も責任を問われることになります。
  • 冬用タイヤは「溝深さ」に注意 重要性と確認方法を紹介
    冬季のトラック輸送では、路面の凍結や積雪がある地域での走行が避けられず、冬用タイヤの装着が不可欠です。しかし、安全に走行するためには、単に冬用タイヤを履くだけでは不十分で、適切な管理が欠かせません。なかでも特に重要なのが、タイヤの「溝深さ」です。本記事では、大型車の冬用タイヤにおける溝深さの基礎知識や重要性、点検方法などを分かりやすく解説します。ぜひ参考にしてください。
  • 1月開催!外国籍ドライバー採用に向けたネパール視察ツアー企画!
    2024年3月、特定技能制度に追加された自動車運送業分野。弊社アズスタッフでは先行して特定技能ドライバーの教育事業をネパールにて展開し、依頼に対して迅速な対応ができるように、準備を進めてきました。現在は教育を終えて内定を待っている候補者が多くいるため、圧倒的なスピード感での入国を実現させることが可能となります。ネパール現地では国家資格を有する日本人の教職員を駐在させ、ドライバー教育を行っております。そして今回、1月21日(水)~23日(金)にかけ実際の教育現場の見学や、現地の日本語学校、教習所を視察し面接が可能なツアーを開催することが決定いたしました。今回はその内容についてご紹介します。
  • 現地教育
    弊社アズスタッフでは、ネパールの現地企業と連携した特定技能ドライバー教育事業の開始を発表しました。2024年3月、特定技能制度に自動車運送業に追加されましたが、現状はまだ広く浸透していないことを背景に、アズスタッフでは、国家資格を有する日本人の教職員を現地に駐在させ、ドライバー教育を行う事業に乗り出しました。今回はその現地での事業の内容をご紹介します。
  • ヨシ! 「仕事猫」が車輪脱輪事故防止を啓発
    一般社団法人日本自動車工業会は、人気キャラクター「仕事猫」とコラボし、大型車の車輪脱落事故防止を啓発するチラシを制作しました。本記事では、車輪脱落事故の概要や原因、日常的に行える対策などを紹介していきます。「仕事猫」や、「車輪脱落予兆検知装置」についても解説していくので、ぜひ参考にしてください。

ドライブワーク通信一覧へ

Copyright (c) Az staff Inc. All Right Reserved.