> > 事業用自動車総合安全プラン2025」達成に向けた、全日本トラック協会の取組状況が公表

ドライブワーク通信

事業用自動車総合安全プラン2025」達成に向けた、全日本トラック協会の取組状況が公表

令和5年11月17日、「事業用自動車総合安全プラン2025」達成に向けた全日本トラック協会の取組状況 が発表されました。
本記事では、国土交通省が掲げる「事業用自動車総合安全プラン2025」と、その達成のために全日本トラック協会が定めた「トラック事業における総合安全プラン2025」の概要と現状について、それぞれ解説します。

事業用自動車総合安全プラン2025の概要と現状

まずは、国土交通省が掲げる事業用自動車総合安全プラン2025 の概要と現状をそれぞれ見ていきましょう。

事業用自動車総合安全プラン2025とは

事業用自動車総合安全プラン2025とは、2025年度までに交通事故による死者数を年間2,000人以下、重症者数を22,000人以下にするに「第11次交通安全基本計画」の達成に向け、国土交通省が打ち出しているプランです。同プランでは、「全業態」と「トラック」において、それぞれ以下のような目標数値を打ち出しています。

項目 「全業種」の
目標数値
「トラック」の
目標数値
①死者数 225人以下
(24時間死者数)
190人以下
②重症者数 2,120人以下 1,280人以下
③人身事故
件数
16,500件以下 9,100件以下
④飲酒運転 0件 0件
⑤追突事故
件数
- 3,350件以下
事業用自動車総合安全プラン2025の現状

続いて、2022年度の時点で、上記の目標がどの程度達成されたかを見ていきましょう。今回発表された資料によると、事業用トラックによる交通事故の現状は以下のようになりました。

項目 件数(目標数値)
死者数 174人(190人以下)
事故件数 9,371件(9,100件以下)
飲酒運転件数 64件(0件)

死者数は190人となり、2025年度までの目標をすでに達成しています。これは2020年度の211件よりも37件少ない数値です。しかし、死者数が単なる数字ではなく、失われた人生の数であることを踏まえて考えると、限りなく0に近づけるべきであり、今後もさらなる改善が求められるでしょう。

事故件数は9,371件です。2020年度の9,449件からは78件減っており、目標値である9,100件以下を達成するためには、残り3年で271件減らす必要があります。減少傾向にあるものの、さらにペースを上げて対策する必要があります。

飲酒運転時は64件あり、2020年度の83件から19件減りました。しかし目標数値である0件を達成するためには、残りの3年で、1年あたり21件以上減らす必要があり、こちらもより強い対策が必要であるとわかります。

トラック事業における総合安全プラン2025の概要と現状

続いて、全日本トラック協会が定める「トラック事業における総合安全プラン2025」の概要と現状について見ていきましょう。

トラック事業における総合安全プラン2025とは

トラック事業における総合安全プラン2025 は、国土交通省が掲げる事業用自動車総合安全プラン2025の達成に向けて、トラック事業者が達成すべき目標を、全日本トラック協会が定めたものです。

少しややこしいですが、「事業用自動車総合安全プラン2025は国土交通書油」「トラック事業における総合安全プランは全日本トラック協会」と覚えておくと良いでしょう。

トラック事業における総合安全プラン2025では、以下の3つを最重要推進項目と定め、安全運行の確保をめざしています。

  • ● 飲酒運転の根絶
  • ● 追突事故の防止
  • ● 交差点事故の防止
トラック事業における総合安全プラン2025の現状

続いて、トラック事業における総合安全プラン2025の現状について、3つの最重要推進項目ごとに、それぞれ見ていきましょう。

飲酒運転の根絶
飲酒運転の件数は0ではないものの、ドライバーによる「飲酒運転を行わない」旨の署名活動や、リーフレットの作成など、継続的な呼びかけを行うことで根絶をめざしています。
なお、今回発表された資料にトラックにおける飲酒運転の正確な件数は表記されていませんでしたが、国土交通省の資料 によると、2021年時点で事業用自動車が起こした飲酒運転35件のうち、トラックによるものは32件となっており、さらなる対策がもとめられる状態です。

追突事故の防止
追突事故は、事業用トラックが第一当事者となる死傷事故のうち約半数、高速道路に限れば約6割を占めます。こうした傾向から、現在は全ての新車に衝突被害軽減ブレーキの搭載が義務付けるなど、対策が進められています。
2022年度に発生した、9,371件で、そのうち追突事故は約46%にあたる4,376件でした。2014年度には死傷事故件数が17,801件で、追突事故は52.2%を占める9,292件だったので、8年間で約半数まで減ったことになります。

交差点事故の防止
交差点事故は、死亡・重症事故件数のうち約4割を占めるため、優先的に対策する必要性が叫ばれてきました。全日本トラック協会では、左側方カメラ搭載車への助成や、側方衝突警報装置の普及促進などの取り組みを行っています。
2022年度時点で、死亡事故件数は169件あり、そのうち交差点事故は37.9%にあたる37.9%でした。2014年度は、死亡事故件数330件のうち、交差点事故の件数は37.6%にあたる124件でした。このことから、件数としては半減しているものの、占有率は横ばいのまま推移していることがわかります。

国土交通省は「事業用自動車総合安全プラン2025」、全日本トラック協会は「トラック事業における総合安全プラン2025をそれぞれ掲げ、トラックをはじめとする事業用自動車の安全な運行をめざしています。

目標達成のためにはより踏み込んだ対策が必要とされる項目もあり、特に飲酒運転の根絶には課題が残りますが、全体的な事故件数は過去10年で約半数にまで現象しています。今回紹介した2つのプランも含め、業界全体の取り組みが効果をみせているといって良いでしょう。

文/BUY THE WAY lnc.

ドライブワーク通信バックナンバー
  • 能登半島地震の被災地に対する、運送事業者の支援を一部紹介
    2024年1月1日に発生し、240名の命を奪った能登半島地震から1ヶ月が経過しました。被災地では現在でも約1万4000人の方が避難所での生活を余儀なくされています。そんななか、全国のさまざまな企業が、被災地に向けた支援を実施、あるいは今後の支援を表明しています。今回は、運送事業者が行った支援について、ごく一部ではありますが紹介していきます。
  • 佐川急便、再配達の荷物をファミリーマートのロッカーで受け取れるサービスを開始
    2024年1月22日、佐川急便株式会社(以下:佐川急便)は、不在で受け取りができなかった宅配便の荷物を、ファミリーマートの専用ロッカーで受け取れるサービスを開始しました。再配達の削減効果に期待がかかるほか、ユーザー目線では受け取りの選択肢が増えることによる利便性の向上が見込まれます。
  • 消費者庁、EC事業者に対し「送料無料」の表示の見直しを要求
    2023年12月19日、消費者庁 はEC事業者などに対し、「送料無料」表示の自主的な見直しを求める旨を発表しました。この要求の背景にあるのが、背景には、2024年4月以降に起こるとされている「物流の2024年問題」です。
  • 引越事業者優良認定制度(引越安心マーク)とは?概要と取得の手順を紹介
    「消費者に選ばれる引越事業者でありたい」「引越作業の質の高さをアピールしたい」引越事業者のなかには、上記のような悩みをお持ちの引越事業者の方もいるのではないでしょうか。多くの消費者は、できるかぎり信頼のおける引越し業者に依頼したいと考えるものです。そこで効果的なのが、「引越事業者優良認定制度(引越安心マーク)」の取得です。全日本トラック協会(全ト協)による認定制度なので、取得すれば客観的に引越作業の質の高さをアピールすることができます。本記事では、引越安心マークの概要と、取得手順について解説します。取得を検討している方は、ぜひ参考にしてください 。
  • 事業用自動車総合安全プラン2025」達成に向けた、全日本トラック協会の取組状況が公表
    令和5年11月17日、「事業用自動車総合安全プラン2025」達成に向けた全日本トラック協会の取組状況 が発表されました。本記事では、国土交通省が掲げる「事業用自動車総合安全プラン2025」と、その達成のために全日本トラック協会が定めた「トラック事業における総合安全プラン2025」の概要と現状について、それぞれ解説します。

ドライブワーク通信一覧へ

Copyright (c) Az staff Inc. All Right Reserved.