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過積載防止の啓発活動が各地で実施

過積載防止を啓発する運動が各地で行われています。
令和5年10月24日には、広島県運輸支局 や広島県警などが参加する広島過積載防止対策会議によって過積載違反車両の取締強化や、啓発活動が実施されました。
また、鹿児島過積載防止対策連絡会議では10月1~31日に「過積載絶滅運動 」を実施、四国4県 では11月1日~30日が「過積載防止強化月間」に定められています。
本記事では、過積載の危険性について改めて振り返ったうえで、違反した場合の罰則についても紹介していきます 。

過積載と最大積載量

過積載とは、トラックの最大積載量を越えて荷物を積載することをいいます。
「4tトラック」であれば4t、「8tトラック」であれば8tが最大積載量です。

トラックの最大積載量は、トラックの車両総重量から、車両重量と乗車定員の体重を差し引いて求めます。
なお、車両重量には、キャブやシャーシ、架装のほかに、増設した燃料タンクやウイングなどの装備品も含まれます。つまり、装備を増やすほど、最大積載量はその分小さくなります。
また、乗車定員の体重は、実際の体重に関わらず、1人あたり55kgで計算されます。

過積載と重大事故のリスク

トラックは、最大積載量を越えた状態で運転することを想定して作られていません。そのため、過積載の状態で運転すると、重大事故を引き起こすリスクが高まります。
例えば、過積載の状態で、積荷が左右どちらかに偏ってしまうと、カーブを曲がる際に車体が荷台の重さに耐えきれず、横転してしまうおそれがあります。

また、過積載の状態で下り坂を下れば、重さによって過剰に加速してしまう可能性があります。逆に登り坂では、発車時に前輪が浮き上がってしまうおそれもあるでしょう。
過積載はブレーキの効きにも影響を及ぼします。重さによって制動距離(ブレーキが効き始めてから停車するまでの距離)が長くなるため、ブレーキが間に合わずに衝突してしまう可能性が高くなります。

トレーラーの場合は、ジャックナイフ現象のリスクも上がります。
ジャックナイフ現象とは、トラクター部分とトレーラー部分が「く」の字に折れ曲がって制御不能になってしまう状態のことです。

過積載に対する罰則

過積載は、実際に運転しているドライバーだけでなく、雇い主である事業者や、運行管理者、さらには荷主に対してもペナルティが課せられます。

ドライバーへの罰則

過積載の状態で運転したドライバーには、過積載の程度と車種によって、違反点数と罰金が以下のように課せられます。

過積載
の程度
大型車
(中型・準中型
を含む)
普通車
違反点数 罰金 違反点数 罰金
10割以上 6点 3点 3万5千円
5~10割
未満
3点 4万円 2点 3万円
5割未満 2点 3万円 1点 3万千円

※大型車で10割以上の過剰積載が合った場合、措置命令や通行指示がおこなわれ、従わない場合は3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が課せられます。

事業者への罰則

事業者に対しては、処分の回数により、以下のような罰則が課せられます。

■処分の回数に応じた罰則

初回 2回目 3回目 4回目 5回目
車両
停止
車両
停止
車両停止・
輸送の安全
確保命令
車両停止・
輸送の安全
確保命令
許可
取消

また、車両停止処分における処分日車は、違反の回数と過積載の程度によって以下のように決まります。

■違反の回数と処分日車

過積載
の程度
初回
の違反
2回目
の違反
3・4回目
の違反
10割以上 30日車 60日車 120日車
5~10割
未満
20日車 40日車 80日車
5割未満 10日車 20日車 40日車
運行責任者への罰則

以下に当てはまる場合は、運行管理資格者の資格が取消となります。

  • ● ドライバーに家事積載や速度違反を指示したり、容認した場合
  • ● 運行の安全に関する違反で120日車以上の車両停止処分を受けた場合
荷主への罰則

荷主は、トラックが過積載になることを知りながら取引きした場合、再発防止命令を受けます。再発防止命令に違反すると、6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金が課せられます。

また、過積載をしなければ実現不可能な依頼をしたり、過積載になることが分かっていながら依頼した場合も、警察から勧告を受けます。

過積載は、重大事故につながる行為です。事故を引き起こせば、ドライバーや巻き込まれたひとの安全はもちろん、会社の信頼にも大きな傷をつけることになります。
また、過積載が発覚した場合、ドライバーや事業者だけではなく、荷主に対しても罰則が課せられます。最大積載量を遵守し、安全運転に努めましょう。

文/BUY THE WAY lnc.

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