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紙おむつ・生理用品の持続可能な物流体制に向けたアクションプランに関係各所が合意

2022年4月18日、国土交通省は、紙おむつ・生理用品の物流を将来にわたって維持するため、「パレット輸送」と「外装サイズの最適化(DFL:Design For Logistics)」の取り組みを促進するアクションプランに、関係者間(国土交通省・製造メーカー・卸売業者・運送事業者など)で合意したことを発表しました。
背景

トラックドライバー不足が深刻です。近年、トラックドライバーの有効求人倍率は、全職業の平均と比較して約2倍の高さで推移しています。ドライバー不足の原因には、全職業の平均よりも約2割長いとされている労働時間など、過酷な労働条件があるとされています。

加えて2024年4月からは、働き方改革関連法により、時間外労働の規制が厳しくなることが予定されています。物流を今後も維持していくためには、トラックドライバーの労働環境の改善と、物流全体の効率化が必要不可欠です。

トラックドライバーが長時間労働になりやすい要因のひとつに、荷役時間、荷待ち時間があります。国土交通省の発表では、平均的なトラックドライバーの拘束時間である約11時間のうち、荷役時間・荷待ち時間は併せて約2時間にも及ぶことがわかっています。

中でも紙加工製品の衛生用品分野(紙おむつ・生理用品)に関しては、未だに手作業での荷役作業が多くなっています。手作業での荷役作業は、時間がかかるのみならず、体力的にもドライバーにとって大きな負担です。これを機械化し、改善することで、荷役時間の削減と重労働の解決を図ろうというのが今回、アクションプランへの合意に至った背景となります。

実証実験

今回のアクションプラン策定にあたって、2つの実証実験の結果が発表されています。

▽T11型パレットを活用した実証実験結果

従来、手作業で積み込まれていた紙おむつ・生理用品を、T11型パレット(1,100mm×1,100mm)を用いて積み込んだ場合の実証実験は、積み込みにかかる時間が33分(手作業は123分)となり、約75%の大幅な削減となりました。一方で積載率は49.3%(手作業は82.3%)となり、約30%悪化しています。
「パレットを用いて積み込み時間を削減しつつ、積載率の悪化をいかに抑えるか」という課題を残す結果になりました。

▽0525型パレットを活用した実証実験結果

こちらは既存の11型パレットではなく、新たなサイズのパレット(0525型パレット:1050㎜×1250㎜×100㎜)を使用した実証実験です。10トントラックの荷台に積載できるケース数が、紙おむつ・生理用品ともに512個(T11型パレットの場合は384個)と、T11型パレットの課題であった積載効率については、ある程度の改善が見られる結果となりました。一方で、新たなパレットサイズを活用したことにより、新たな保管スペースや、設備の整理などが必要になるデメリットも生まれています。
アクションプランの概要

実証実験の結果を踏まえ、アクションプランの概要は以下のようになりました。

▽民間の取組み

  • ・紙おむつ・生理用品など、衛生用品分野におけるパレットサイズはT11型とします。
  • ・T11型を活用する上で積載効率の低下を最大限抑えるため、外装サイズの最適化を進めます。

▽行政の支援

  • ・物流総合効率化法の枠組みに基づく支援・表彰制度の活用・周知PRを行います。

▽推進体制

  • ・行政の旗振りの下、関係者によるフォローアップを行い、取組を推進します。

文/BUY THE WAY lnc.

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