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運送業界における下請法違反 背景には従来の商習慣

令和7年12月23日、公正取引委員会と中小企業庁は、運送事業者感の取引における下請法違反被疑事件の集中調査の結果 を発表しました。本記事では、下請法の基礎知識に軽く触れたうえで、発表された調査結果について解説します。

下請法とは

下請法(下請代金支払遅延等防止法)とは、取引上の立場が弱くなりがちな下請事業者を、発注者による不当な行為から守るための法律です。ここでいう不当な行為とは、「代金の支払い遅延や減額」「返品の強要」「理不尽な買いたたき」などが該当します。

例えば運送業界では、元請となる運送事業者や荷主が、下請・協力会社に対して運賃や業務内容を一方的に決めるケースが多く見られます。下請法はこうした取引において、契約内容を明確にした書面の交付や、適正な対価の支払いを義務付けています。

違反が認められた場合、公正取引委員会からの指導や勧告の対象となり、企業名が公表されることもあります。下請法を理解し、厳守することは、コンプライアンスはもちろん、健全な取引関係を築くうえでも重要です。

令和7年に実施された調査について

ここでは、公正取引委員会と中小企業庁によって令和7年に実施された調査の概要と、そこから見えた傾向について、それぞれ見ていきましょう。

調査の概要 今回実施された調査の概要は以下のとおりです。

・期間:令和7年4月以降
・実施機関:公正取引委員会と中小企業庁
・対象:運送事業者間の取引のうち下請法違反が疑われるケース
・結果:2件の勧告、および530件の指導

また、中小企業庁の調査担当者(下請Gメン)によるヒアリングもあわせて実施されました。

調査から見えた傾向 公正取引委員会と中長期業庁は、今回の調査から見えた傾向について、以下の3つの観点から紹介しています。

・書面の不交付・記載不備
・買いたたき
・不当な経済上の利益の提供要請

▶ 調査対象となった事業者
前述のとおり、荷主や元請事業者は、下請事業者に運送を依頼する際、契約内容を明確にした書面を交付することが義務づけられています。

今回の調査では、この書面が交付されていなかったり、交付しているものの内容が不十分だったりする事例が多く見られました。なかでも目立ったのが、荷待ち、積込み、取卸しといった運送業務以外の作業が、委託内容として明記されていないケースです。

運送業界には、これらの作業を「運送業務の一部」と捉える慣習が根強くありますが、下請法では運送業務とは別の役務として区別して記載する必要があります。記載がない場合、下請法違反と判断される可能性があります。

▶ 買いたたき
人件費や燃料費が上昇しているにもかかわらず、運賃が不当に据え置かれている事例も複数ありました。下請事業者が運賃の値上げを求めた際、正当な理由なくそれを拒否したケースも見られます。

▶ 不当な経済上の利益の提供要請
荷待ち、積込み、取卸しなどの作業を「運送業務の一部」として扱い、実質的に無償で行わせていた事例も報告されています。また、有料道路の利用料金を下請事業者に負担させていた事例が確認されました。

こうした事態の背景には、「運賃の中に含まれている」「元請事業者も荷主から対価を受け取っていない」といった認識のもと、無償対応が商慣習として定着している実態があります。

これらの負担についても、発注時の書面で内容と対価を明確にし、適正な支払いが行われるよう対応することが求められます。

まとめ

荷待ち、積込み、取卸しなどの作業は、これまで運送業務の一部として無償で提供されることが暗黙の了解となっていました。

しかし、運送業界が人手不足や高齢化といった深刻な問題を抱えている昨今、下請法やトラック法などの関連法令を遵守する姿勢が、これまで以上に求められています。

運送事業者にとっては、従来の慣習を見直し、書面の整備や価格協議の徹底など、日常的な取引管理を強化することが、今後のリスク回避と持続的な事業運営につながるといえるでしょう。

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