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「冬季の省エネルギーの取り組みについて」が決定 運送業界に求められる対策とは

2024年10月29日、省エネルギー・省資源対策推進会議省庁連絡会議が開催され、「冬季の省エネルギーの取り組みについて」が決定され、その内容が公表されました。これを受けて国土交通省は、全日本トラック協会を含む各関係団体に対し、周知・取り組みの協力を依頼しています。

本記事では、現在における省エネの重要性について簡潔に解説したうえで、運輸関係の事業者に求められる省エネの形について紹介していきます。

省エネにかかわる現状と課題

日本における最終エネルギー消費量は2005年をピークに減少傾向にあります。GDPあたりのエネルギー消費量も世界平均を大幅に下回る水準となっており、省エネの推進が一定の成果をあげているといえるでしょう。

とはいえ、日本のエネルギーは、そのほとんどを海外から輸入している化石エネルギーに頼っているため、現状の省エネも決して十分とはいえません。とくに2022年以降は、ロシアによるウクライナ侵攻によりエネルギーコストが世界的に高騰しているため、エネルギー消費のさらなる効率化はいっそう重要な課題となっています。

運輸関係の事業者に求められる省エネ

省エネルギー・省資源対策推進会議省庁連絡会議は「冬季の省エネルギーの取り組みについて」のなかで、各業界に対し、具体的な省エネ対策を挙げたうえで周知・協力を呼びかけています。運送業界に対して求められている対策は以下の4点です。

  • ● 省エネ法に基づくエネルギー管理の実施
  • ● 公共交通機関の利用促進
  • ● エネルギー消費効率の良い運送機関の選択
  • ● エコドライブの実践

それぞれ見ていきましょう。

省エネ法に基づくエネルギー管理の実施

貨物輸送事業者や旅客輸送事業者、およびその荷主に対しては、省エネ法(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)における以下の基準に基づき、適切なエネルギー管理を行うことが求められます。

  • ● 旅客の輸送に係るエネルギーの使用の合理化に関する旅客輸送事業者の判断の基準
  • ● 貨物の輸送に係るエネルギーの使用の合理化に関する貨物輸送事業者の判断の基準
  • ● 貨物輸送事業者に行わせる貨物の輸送に係るエネルギーの使用の合理化に関する荷主の判断の基準

また、保有車両トラックが200台以上となった旅客輸送事業者・貨物輸送事業者は、輸送能力届出書を、国に届け出る必要があります。

荷主は年間輸送量が3,000万トンキロ以上となった荷主は貨物の輸送量届出書を、届け出なければなりません。

公共交通機関の利用促進

通勤や業務、休暇時のレジャーなどの移動には、できるかぎり鉄道やバスなどの公共交通機関を利用することで、省エネルギーにつながります。また、近距離の移動では徒歩や自転車などで行うことも推奨しています。

エネルギー消費効率の良い運送機関の選択

自動車の購入時には、環境性能に優れたもの(エコカー)を選ぶことを推奨しています。また、貨物輸送に関しては、輸配送の共同化などによる積載効率の向上や、鉄道や船舶の積極的な利用(モーダルシフト)などにより、物流の効率化を図ることが求められます。

エコドライブの実践

運転時に、以下に挙げる「エコドライブ10のすすめ」を実践することが求められます。

  • 1. ふんわりアクセル「eスタート」
  • 2. 車間距離にゆとりを持ち加速・減速の少ない運転
  • 3. 減速時は早めにアクセルを離す
  • 4. エアコンの使用は適切に
  • 5. 無駄なアイドリングをしない
  • 6. 渋滞を避け、余裕を持って出発する
  • 7. タイヤの空気圧から始める点検・整備
  • 8. 不要な荷物は降ろす
  • 9. 走行の妨げとなる駐車はしない
  • 10. 自分の燃費を把握する

また、VICSやRTC2.0といった交通渋滞の軽減に役立つシステムの活用、バイオマス燃料や合成燃料などの環境に優しい燃料の選択も、効果的に省エネを実践する方法です。

「冬季の省エネルギーの取り組みについて」の決定を受け、運送関連の事業者に求められる対策を紹介しました。日本の最終エネルギー消費は2005年をピークに減少傾向にありますが、近年のエネルギーコストの上昇を受け、今後はよりいっそうの省エネが求められます。

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