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飲酒運転のリスクと、防止に向けた取り組み

業務用トラックが当事者になる事故には様々なケースがありますが、その中でも一際悪質なものが飲酒運転事故です。飲酒運転は重大事故に直結する犯罪行為であることはもちろん、会社の信頼を失墜させ、ドライバー自身の人生も台無しにしかねません。

そこで全日本トラック協会では、2007年より飲酒運転防止マニュアルを作成し、その後何度かの改定を重ねながら、各事業所に向けた注意喚起を行っています。

飲酒運転のリスク

事業用トラックによる飲酒運転は、ドライバー個人だけでなく、所属する事業所にとっても大きなリスクとなります。

○事業所のリスク

ドライバーが飲酒運転を行った場合、初違反で100日、再違反では200日の車両停止処分が下されます。加えて事業所が飲酒運転を容認していた場合や、必要な指導を怠っていた場合は、事業所に対して最大14日間の営業停止処分が課せられることになります。

また処分以上に大きなリスクとして、社会的信頼の失墜を挙げることができるでしょう。飲酒運転を容認した事業所に仕事を任せたいと思う顧客はいないからです。飲酒運転は、たったひとりの所属ドライバーが、たった一回行っただけでも、これまで事業所が築いてきた信頼を破壊し、経営破綻にも繋がりかねない大きなダメージとなります。

○ドライバーのリスク

飲酒運転は事故を起こさなくても刑事罰の対象となります。酒酔い運転では5年以下の懲役か100万円以下の罰金、加えて35点の違反点数(3年間は免許の取得ができない)を課せられます。酒酔い運転よりも軽い酒気帯び運転であっても、3年以下の懲役か50万円以下の罰金、アルコール量に応じた違反点数が課せられます。

飲酒運転を行い事故を起こした場合は危険運転致死傷罪となり、通常の交通事故よりも重い罰則を受けることになります。狩りに死亡事故となった場合、1年以上20年以下の懲役が課せられます。

また飲酒運転は多くの場合、社内の懲戒規定の対象になります。解雇されることも少なくありません。

飲酒運転防止に向けた取り組み

各事業所が行うべき飲酒運転防止対策は「管理体制の強化」と「指導・啓発活動の推進」の2軸によって行っていきます。

○管理体制の強化
・厳正な点呼の実施
出庫時や帰庫時の点呼を確実に行います。その際、手記の有無についてドライバーの申し出を徹底するとともに、アルコール検知器によるチェックも行っていきます。
・飲酒状況の把握
アルコール依存症などの症状がある場合は、ドライバー個人の意思で飲酒状況をコントロールすることが非常に困難です。管理者による個人面談や健康診断の結果などを利用し、ドライバーの飲酒状況を把握しておきます。
・社内処分の強化
酒気帯びや飲酒運転に対する社内規定の見直しを行い、それらを厳正に運用していきます。
○指導・啓発活動の推進
・従業員への指導・啓発
飲酒が運転に及ぼす影響や、その危険性に加え、罰則や処分の重さもきちんと啓発します。
・家庭への啓発広告
家庭で摂取したアルコールが運転時に抜けきっておらず、酒気帯び運転につながるケースがあります。これを防ぐために、手紙などによる家庭への啓発を行い、家族の協力も仰いでいきます。
・飲酒運転防止専門機関の活用
ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)をはじめとする専門機関の協力を仰ぎながら、飲酒運転防止の意識を事業所内に浸透させていきます。

一定の効果は出しているものの充分とはいえない

事業用トラックによる飲酒運転の件数は、平成20年から平成29年までの10年噛んで、250件から81件にまで減少しています。このことから、飲酒運転防止に向けた取り組みは一定の効果をあげているといって良いでしょう。とはいえ、飲酒運転は本来は1件もあってはならないものです。現状の成果に満足することなく、さらなる対策の強化が求められています。

文/BUY THE WAY lnc.

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